Sep 23

先日、もし日本に帰国しないといけなくなった(あるいはそうでなくてもアメリカ以外の国に住むことになった)場合、現在保持している各種金融機関の口座はどうなるのかというのがふと気になり、問い合わせて確認してみた。その結果をざっとまとめると以下のような感じ:

Vanguard

  • アメリカ非居住者になった後も口座維持可能
  • Mutual fund dividendの分配金再投資は継続される(9/24訂正:「分配金」ではなく「再投資」)
  • Mutual fund, ETF, 一般株式も継続して購入(より正確には”establish new positions”)可能
  • 売却が可能かは未確認(だが購入が可能なくらいなので可能だろう)
  • (少なくとも筆者の現勤め先の)401(k)口座は維持可能(ただし退職していれば当然新規拠出不可)
  • IRA口座も維持可能(拠出も可能かは不明だが、日本に帰国したような場合はIRS的拠出可能条件を満たさないことが多そう)

Fidelity

  • アメリカ非居住者になった後も口座維持可能
  • 通常の株式やETFは引き続き売買可能
  • 保有しているmutual fundの売却は可能
  • Mutual fundの新規購入は不可

HSA BankのHSA

  • 非居住者になった後の口座維持は不可

Fidelityでは維持可能だというのはだいぶ前に確認していたのだが、一応いまでも変わっていないことが確認できた。また、筆者にとっては意外なことにVanguardが非常に寛大だった。以前どこかでVanguardの口座はアメリカ非居住者になると維持不可能と聞いた気がしていたのだが、ポリシーが変わったのでないとすれば完全な勘違いだったことになる(以前作った税優遇口座についてのスライドでも「真偽不明の噂」としてVanguardでは維持できないかもと書いていたのだが訂正した)。

一方、半ば予想はしていたが、HSA Bankの口座はやはり居住者専用だった。どこか他に非居住者でも維持可能なHSAがあればそこに移すという手はあるかもしれないが、ひも付きの運用口座までまとめて移管はできないだろうし、そもそも非居住者の口座維持を認めるHSAが存在しているのかどうかもいまのところ定かではない。となると、以前のblogにも書いたように、帰国のためにいざ口座を閉じないといけなくなった場合に課税と(年齢次第では)ペナルティを伴うnon qualifiedの引き出しをできるだけ避けられるように、未請求の医療費の記録をしっかり残しておくことがますます重要になりそうである。

非居住者対応は今後も変わる可能性があるだろうから、現時点での情報が実際に必要となるときまで有効かどうかはわからないが、少なくとも噂や推測レベルでなんとなく理解(or誤解)していた部分をはっきり確認できたのは収穫だった。

ところで、これまで筆者はとくに課税口座では一般のmutual fundではなく対応するETFを買うようにしてきたのだが、その主な理由が実はこの件に関係している。将来もしアメリカ非居住者になることになった場合、Vanguardを解約せざるを得ずFidelity(もしくは他の非居住者の口座維持を認めている会社)に資産一式をtransferするようなことになった場合、Vanguardのmutual fundなどだと売却時の手数料が高い(と思っていた)というのが理由である。一方、ETFなら通常の株式などと同じで数ドル程度の手数料で売却できる。Vanguardのファンドの場合、多く(全部?)のケースでadmiral classとETFのexpense ratioは同じだし、ETFだと分配金を自分で再投資する必要があって面倒な上、(Vanguardのメジャーなファンドならあまり問題ないようだが)本体のファンド価額との乖離問題もあったりと、少なくともadmiral classのファンドを買うだけの資金があれば通常わざわざETFを選択する理由はないのだが、遠い将来の可能性を考えていままでこれらを我慢してきた。しかし、Vanguardにmutual fundのまま残しておいて必要なときに売却できるとなればそんな苦労も必要ないということになる。さらに言うと、実はFidelityの場合だとVanguardのファンドはFundsNetwork Transaction fee fundsというカテゴリに属するようで、これだと売却時には手数料がかからないらしい(“You will only be charged a transaction fee when you buy a FundsNetwork TF fund, not when you sell one.”とある)。今頃になって調査が甘かったことに気がついてしまった…

コメント 4 件

  1. socialnews_nr Says:

    米国非居住者になった場合の各種口座の扱い http://t.co/Vy4BiofZCj

  2. DRIPについて Says:

    […] 以前のblog記事で、通常の投資信託((traditional) mutual fund, TMF)とETFを比べた場合に、後者では「分配金を自分で再投資する必要があって面倒」と書いたが、実はETFでも銘柄と預け先によっては(無料での)自動再投資が可能な場合がある。これは一般にDividend Reinvestment Program/Plan (DRIP)と呼ばれていて、たとえばVanguardの証券口座にVanguardのETFを預けている場合はほぼDRIPを選択可能である(ちなみにFidelityはETFのDRIPを提供していない)。 恥ずかしながら、筆者は割と最近までVanguardの一般課税口座でもDRIPが選択可能なのを認識していなかった。IRA口座で買ったETFには何も指定しなくてもDRIPが適用されていたので、課税口座でそうなっていないことからIRA特有のサービスなのかと誤解していたのである(筆者のサイトナビゲーション能力が低いだけかもしれないが、Vanguardの証券口座のサイトはこのあたりがわかりにくような気がする。ETF名をクリックするとごちゃごちゃいろんな情報が現れるのだが、そこの”Holding options”というところで”Dividends and capital gains”の”Edit”をクリックして指定する必要があり、かなりの操作が必要である)。以前のblog記事以降、おもに再投資の利便性の点から、何とかコストやリスクをかけずにETFをTMFに転換できないかなどと考えていたのだが、DRIPが適用できるとなるとETFのままでもとくに問題ないということになりそうである…と思いつつ改めてよく調べてみると、(いつものことながら)実はそう単純な話でもないということが判明してしまった。 […]

  3. SSS Says:

    ご存知でしたら教えてください。
    現在、米国駐在中で、米国の現地口座(Charles Schwab)にて米国株投資をしております。

    基本的に、高配当株の長期投資を行っている為、日本への帰国後(後1年と半年程だと思います)も現地口座での投資継続を検討してます。(Charles Schwabには帰国後も「International Account」という海外居住者用の口座を使って投資継続が可能なこと確認済み)

    帰国後に、株売却益や、配当金によるインカムゲインがある場合、税金は日米の両国で課せられるのでしょうか。

  4. Jinmei Tatuya Says:

    ご質問いただいてましたが気がついていませんでした。すみません。おそらくFI Planningで同じ質問(https://www.fiplanning.com/comment/6660#comment-6660)をされた方かと思いますが、そちらでお答えした内容で解決済みかとは思います。

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