Nov 19

諸事情により、日本で保有していた株式の一部を売却する予定が生じたので、これによって発生するキャピタルゲインの日本側での税金処理について改めて確認してみた。

もともとの筆者の理解では、日米租税条約(PDF)の第13条により、アメリカの居住者が日本で保有する株式のキャピタルゲイン(譲渡益)は通常はアメリカでしか課税されないはずである(一部大株主の場合など例外があるが、普通の個人が普通に持っている株式の場合は大抵この規定が適用されるはず)。しかし、とくにアメリカの場合だと、課税はされなくても報告が必要というような罠があちこちに仕掛けられているので、もしや日本の場合も確定申告自体は必要かもしれないというのがふと気になり、調べてみた。

国税庁のページにある情報としては、海外転勤中に株式を譲渡した場合という項に「租税条約により日本で課税されないことがあります」という記述はあるものの、そのような場合に何か作業が必要なのかどうかについては何も記載されていない。そこで税務署に電話して問い合わせてみたところ、「(筆者の理解の通り)日本では課税されず、確定申告も不要」とのことであった。ということで一安心である。(ただし、似たような状況の方には、これを鵜呑みにせずに別途確認されることをおすすめします)

ちなみに、アメリカ側での申告においては、「売却時の金額をその時点の為替レートでドルにした値」から「購入時の金額をその時点の為替レートでドルにした値」を引いたものをゲインとして申告して課税を受ける。最近は円安なので、この点では「お得」である。もっとも、売却で得た現金をドルに替えて送金して使うような場合には、結局その額も目減りするので幻想にすぎないとも言えるが…。

コメント 2 件

  1. 日本で発生したキャピタルゲインの税金処理: 追記 Says:

    […] 以前このタイトルで書いたblog記事について、転載先のFI Planning掲示板で質問投稿があった。「ちなみに」として付記したアメリカ側での申告における為替レート計算方法の根拠についてである。 […]

  2. 日米租税条約と属人主義課税 Says:

    […] この場合の最大の問題は、アメリカ源泉の所得(アメリカからの給料などはないとすると、おそらく銀行の利子や株式などからの配当)についての税金だと思われる。まず、この所得に対して日本で課税された税金をアメリカでFTCとして取り返すことはできないだろう。FTCは外国源泉所得についての外国の税金を対象としているからである。一方、この所得に対してアメリカで課税された分については、日本側で外国税額控除を請求できるはずであるが、この場合も先のblog記事と同じ問題があり、租税条約上相手国(この場合アメリカ)で課すことのできる上限の税額までしか税額控除は申請できない(国税庁の基本通達95-5参照)。とくに、株式の売却などでキャピタルゲインが生じていると、租税条約上は居住地国でしか課税できないことになっている(以前のblog記事参照)ので、アメリカで課された税金はまったく取り返すことができずに100%二重課税となってしまう。 […]

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