2007/03/25: 外貨の運用に関する考察

外貨預金の呪縛から逃れたのを機会に、種々の外貨運用方法について 比較すべく、まじめに計算してみた。まず対象としたのはソニーバンクとcitibankの 米ドル定期預金(1年)とゴールドマン・サックス米ドルMMF。 100万円を元手に1年運用し、為替の変動がなかったとした場合の結果が以下の表。

ソニーバンク citibank 米ドルMMF
TTS(ドル買い時レート)118.38119.05118.39
TTB(ドル売り時レート)117.88117.05117.89
利回り(1年)3.99%3.55%4.633%
ドルへ変換後(USD)844784008447
運用後(税引き前, USD)878486988838
運用後(税引き後, USD)871786398760
円へ変換後(JPY)102756010111951032716
実質利回り2.76%1.12%3.27%

ただし、外貨預金の利回りは1年もの定期の利率で、MMFの方は直近の年換算利回り。 実際にはドルの金利は下がると予想されているようで、外貨預金では短期の利率の 方が1年ものよりよくなっていることからするとMMFにとって若干有利な条件で 計算されている。

わかってはいたことだが、citibank外貨預金のぼったくりぶりが際立っている。 為替リスクを取った上でこの利回りではまったく見合わない。 若気の至りとはいえ、こんな粗悪商品を長期間つかんでいたとは…。 ソニーバンクは為替手数料(往復50銭)が良心的ではあるが、定期なので途中解約 が効かないこと、利回りの低さ、預金保険対象外なので銀行の信用リスクも伴う ことなどを考えるとMMFに対する優位点は見いだせない。

これらに対し、FX(外国為替証拠金取引)はどうか。某証券会社のFXでは、 現時点でのコストは以下:

証拠金100万円で1万USDの買いポジションを取り、 スワップポイントと為替に変動がないまま1年間運用したとすると (ただしMMFと同様、スワップポイントについては 今後日米の金利差が縮まるであろうことを考えると現実には楽観的過ぎる仮定 だといえる)、 合計のポイントは149円 * 365日 = 54385円。一方、決済時の合計手数料は 800 + 800 + 400 = 2000円なので、実質利益は52385円。 この利益は雑所得として課税されるが、雑所得合計が20万円以下なら確定申告 不要なので利回りは5.24%になる。確定申告が必要になった場合は、対象所得 に対する税率を20%と仮定し、経費が50%認められたとして (プロバイダ料金も認められるらしいので50%は無理な数字ではないだろう)、52385 - (52385 * 0.5 * 0.2) = 47146円が実質の収入となり、課税された場合でも利回りは4.71%。

見た目の利回りだけみればFXも魅力的ではあるが、独自のリスクが多々ある ので慎重に検討する必要がある。


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