Jun 05

5月頭に歯医者に行ったら虫歯があると言われて治療していたのだが、その治療費と保険適用の明細が保険会社から送られてきた。これがかなり解読の難しい内容。


職場の数名に聞いた結果の理解によると、こういうことのようだ。

  • (A)Submitted feeは、歯医者が保険会社に請求した額
  • (B)Accepted feeは、その治療内容に対して被保険者(=僕)のプランの範囲で適用可能な医療費
  • (C)Maximum Plan Allowanceは、accepted feeに相当する治療内容に対する「平均的な」医療費
  • (D)Amount applied to deductibleは、保険会社の免責額(被保険者の自己負担額)
  • (E)Percent…は、保険対象となる額に対して、このプランでカバーできる割合
  • (F)Deltadental pays = (C – D) * E. 保険会社が歯医者に払った金額
  • (G)Patient pays = B – F.

まず、(A)と(B)の違いからして理解できず。ここは普通は同額になるものらしい。今回の場合、Note (427)にあるように、合成樹脂とか合金による詰め物を使った治療が加入中のプランでカバーされていないため、それに近い治療項目を保険会社が探してそれを適用した結果、ということらしい。

さらに(B)と(C)の違いも謎。(C)は要するに保険会社から見て該当する治療費として妥当な額、ということのようだが、これはOhioでの治療費をベースに計算されているらしい。Californiaの場合、同じような治療でもOhioよりかなり割高になるのが普通のようで、結果的に(B)は(C)よりもかなり高くなるのが一般的ということのようだ。後の計算からもわかるように、保険の対象となる金額は(C)なので、結局(A)と(B)に差があるかどうかといったことはほとんど関係ないということになる。

(D)はよくある免責額。加入中のプランでは年間の歯科治療費のうち最初の$50までは自分持ち(deductible)、ということになっているので、2つある治療内容のうち前者だけに適用されている。

ここは、より正確には”You must pay the first $50 of Covered Services for each Enrollee in your family in each calendar year”とある。これは、治療の種類が違うとその度に$50ずつ払わないといけないということか?

後半の項目も同様で、(A)と(B)に違いがあることから、結局(A)の合計額 – (F)の合計額 = $297.20を歯医者側に払うということになるようだ(別途歯医者から請求書が来ると思われる)。なお、(A)と(B)に差があるため、この額は(G)の合計よりも大きいことに注意。

いろいろ文句を付けたくなる個所はあるが、なんといっても根元的な問題は、保険会社からの請求があるまでいくら払えばいいのかわからないということだろう。先進国の中でも最上クラスといわれる日本の医療(費)システムに慣れていた人間にとってはとても考えられない話だ。

後になって保険が(十分に)おりずに高額の費用を払うことになるのを防ぐために”predetermination”というシステムがあり、あらかじめどの程度が保険でカバーされるかの見積もりを取ってから治療方針を決めるということができるようだが、そんな冗長なことをしているから結局その分のコストが治療費にも上乗せされて患者の負担が重くなっているのではないかという気がする。処方箋を持って薬局に行っても、薬が出てくるまでに10分以上待たされるのが普通だが、これにも、保険でどの程度カバーされるかなどをいちいち問い合わせたりしている分の時間が効いているのではないかと思う。

アメリカの医療の破綻ぶりによって、医療(費・保険)を民営化することがいかに社会的利益を害するか(保険会社と製薬会社だけが儲かり、医療費はむしろ高騰して患者は苦しむ)が証明された、という話はよく聞くことだが、やはり身銭を切って体験すると実感としてそれがよくわかる。

ということで、それとリンクしていることだと思うが、治療費の高さにも改めて驚く。ちょっとした虫歯2個所を治して、しかも保険が効いて3万円以上かかるとは。日本で無保険で受けてもこれより安かったりするんじゃないだろうか。アメリカの歯科医はレベルが高いとかいう話も聞くけど、少数例ながら両方の国で治療を受けた経験からいって、少なくとも最近についていえば、日本のちゃんとした歯医者なら技術・知識・設備などのすべての面で同等以上だろうと思う。

実際、日本人の某知り合いは、アメリカでは歯医者にはかからず(したがって保険にも入らず)、日本にたまに帰国したときに無保険で検診+必要なら治療を受けているそうだ。それも一案かとは思うが、歯ぐきに若干不安がある身としてはある程度定期的に検診とクリーニングを受けたい(一応、年2回までは保険で全額カバーされる)のと、そんなにタイミングよくちょくちょく日本に戻ることはなさそうなので、当面はこの破綻したシステムと付き合う覚悟を決めないといけないようだ。これまでの経験では虫歯はめったに見つかっていないので、そんなに痛い出費にはならずに済むと思いたいところ。

あと、Obamaにはぜひとも大統領になってもらって、この破綻し切ったシステムを少しでもましなものにしてもらいたい。8年やそこらでは、ましてもし再選されずに4年で終われば、仮初めにも企業のサポート付き保険に加入している人間が実感できるほど改善されることはないだろうけど(他にもっと救わないといけない人が山ほどいるので、それだけでも4年くらいはあっという間に経ちそう)。

医療とはまったく関係ないけど、Gombeiの昼飯。”boiled hamachi-kama + nimono”, $10. 手書きメニューのホワイトボードに”Hamachi-kama”とか”Nimono”とかローマ字で書いてあるのだが、日本語を知らない人が見て内容がわかるんだろうか…。

コメント 2 件

  1. くろいし Says:

    虫歯で、3万円ですか!?しかも保険適用済で。
    日本であれば歯医者には 2000 ~ 5000 yen 持っていったら OK かと。
    しかも、場合によっては医療控除で、XX% ~ 戻ってくるし、高額療養費なんて制度もありますし。

    75歳以上の年金から天引きするとかで、今揉めてますけど、日本は恵まれてるのかなぁ。

  2. jinmei Says:

    日本で保険適用での治療ならせいぜい5千円というところでしょうね。仮に無保険で受けても16667円なので、半額程度で済む計算になります。税金の医療費控除制度はアメリカにもありますが、控除が適用されるようになるラインがかなり高いのであまりありがたみがありません。

    医療保険や医療制度については、日本は本当に恵まれていると思います。比較的低額の保険料かつ全員加入の(つまり無保険ということが原則としてない)システムで、医療費や処方薬の価格は統一されていてしかも比較的安く、基本的にはどの医者にでもいつでもかかれるようになってるので。アメリカではこのうちのどれも成り立ってないので、最悪です。

    高齢化の進展その他の理由でその保険財政が厳しくなってきているので例の後期高齢者問題が生じたりしてるのだと思いますが、こうした個別の対策の是非はともかくとして、皆保険制度のありがたみをもう少し認識してそれを守っていこうという意識は必要でしょうね(いま病気になってないからという理由で国保の保険料を払わない、とかいうような人が増えるとそのうち痛いしっぺ返しを食うことになるでしょう)。

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