Feb 16

引き続き確定申告シリーズ。

RSU(Restricted Stock Unit)は、株式ベースの報酬(給与)の一種。その公式な定義はIRSのサイトの情報では見つけられなかったが、一般的には以下のような仕組みということになっているようだ。

  • 雇用中のある段階で、勤務先の一定数の株式を一定の条件(将来の特定の日など)で受け取る権利が認められる(grant)
  • 条件が満たされるごとに定められた数の株式が付与され(vested)、これは自由に売却できる
  • grantされたすべての数の株式がvestされる前に退職した場合は、残りの権利は放棄される

また、これもIRSのサイト内からは明確な規定が見つけられなかったが、RSUとして付与された株式は、vest時点の時価をもとに給与(ordinary income)として課税対象の所得となる(さらにいうとsocial securityやmedicare税の対象にもなる)。さらに、vestの時点で給与と同様に税金の天引きを受ける。天引きの方法には何種類かあり、主なものとして以下がある:

  • Cash Transfer: 付与された株式を管理する証券会社の口座にあらかじめ天引きに必要な現金を入金しておく。株式が付与されると、天引きに必要な額が証券会社から勤務先に送金される。この場合は付与された株式全体を受け取ることができる
  • Sell-to-Cover: 付与された株式のうち、時価で天引きに必要な金額に相当する株数を自動的に売却し、それが勤務先に送金される。残った株式は自由に売却できる
  • Same Day Sale: 付与された株式全部をvestの時点で自動的に売却する。そのうち天引き額が勤務先に送金され、残りは証券会社の現金口座に入金される

普通の上場企業に転職した結果、RSUについてもデビューを果たすことになり、昨年最初のvestを受けたのだが、ESPPの場合と同様に、付与された株式をどうするか、またRSU特有の事情として天引き方法としてどれを選択するかという問題が発生した。が、実際にはRSUの場合は採るべきオプションは基本的に一つしかあり得ない: vest後に直ちに全株売却、天引き方法としては(可能なら)Same Day Saleを選択、である。

ESPPと異なり、RSUには付与された後の株式についての税優遇措置はない。したがって、vestされた直後の状態は、「株式の時価相当額の現金をボーナスとしてもらい、その全額で勤め先の株式を購入、その後直ちに天引き分相当の現金を勤め先に返却」しようとしているのに等しい。ここで、この「ボーナス」全額を投入した株式を保有する特別な理由がない限り、そもそも購入した判断が間違いだったということであり、値動きのないうちにそれを解消するのが最も理にかなった行動になる。筆者の場合は、特定の株式の将来性についての自らの判断力を信用していないので、どの時点のどんな個別の株式でも保有する理由はなく、「解消(=売却)」が唯一の妥当な選択肢になる。特定の株式の売買で利益を上げる自信のある人なら、一部は保有してもいいかもしれないが、金額・購入タイミングともに自分で選択したものではないので、少なくとも全株保有し続けるという選択が最善というケースはごく稀だろう。

また、「直ちに全株売却」という方針により、天引き方法としても自動的にSame Day Saleが最善ということに決まる。即時売却を選ぶからには、購入時と売却時の差額が少ない方が望ましく、Same Day Saleはそれを最小(というかゼロ)にできる唯一の選択肢だからである。また、事務処理の点でも、自ら売却しなくて済むので楽になるし、税金処理の手間の上でも、差額がない方がcapital gain/lossの計算等を省けて楽である。

ただし、残念ながら、デビュー段階ではここまでの考察が間に合わず、天引き方式としてはdefaultとして指定されていたSell-to-Coverを何となく選択してしまった。どうも後からこの選択を変えることはできないようで、今後のvest分についてもSell-to-Coverを受け入れるしかないようだ。

RSU関連のtax returnも今回がデビューとなる。申告にはESPP同様、証券会社から送られてくる1099-Bと勤務先からのform 3922の情報を使うのだが、ESPPに比べるとこちらは簡単である。

まず、1099-Bの内容は以下のような感じ:

昨年あったvestは一度だけなのだが、自分自身での売却に加えてsell-to-coverの分があるので2行分の報告がある。このそれぞれについて、給与相当分がform 3922の添付の明細に”W-2 Income”として記載されている。また、1099-Bにおいては、Box 3において”Basis Not Reported to the IRS”となっており、Form 8949のPart Iではbox Bを選べとの指示がある(ESPPの場合はここはbox Aであった)。

TaxACTでの申告方法は、TaxACT自身がFAQとして公開している。1099-Bの数字を入力した上で、”Cost or Other Basis”のフィールドに給与相当部分の金額を入れればよい。

コメント 1 件

  1. キャピタルゲイン・ロス申告本格デビュー Says:

    […] 筆者はふだんほとんど資産の売却をしないので、過去7回のアメリカ確定申告(tax return)において、キャピタルゲインやロスを報告する必要はほとんどなかった。せいぜいRSUやESPP関連の売却が数件ある程度で、これらについては1099-Bの内容を手入力する手間も大したことがなかったので、tax returnにおけるこれらの事務作業上の問題をあまり意識する必要はなかった(ただしRSU、ESPPとも、blogに書いたようにIRS規定に由来する罠はある)。しかし、2015年にはいろいろな事情が重なってかなりの件数の売却が発生したため、キャピタルゲイン・ロスについてのtax returnでの報告方法について、TaxActの操作方法も含めた実務上の細かい問題にいろいろ直面することになった。この記事はその学習結果のまとめである。 […]

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