Jan 25

以前このタイトルで書いたblog記事について、転載先のFI Planning掲示板で質問投稿があった。「ちなみに」として付記したアメリカ側での申告における為替レート計算方法の根拠についてである。

この部分は当該記事の本題でなかったこともあり、書いたときも出典まで調べずにさらっと流してしまったのだが、改めて質問されてみると、自分自身根拠が曖昧だったということに気がついた。以前似たような状況についてCPAに確認したことがあり、それをそのまま信じただけでIRSの資料まで確認していなかったようだ。ということで改めてちゃんと調べてみた(いつものことだが、調べた内容やその解釈が間違っている可能性は常にあるので、鵜呑みにされないようにお願いしたい)。

この根拠について、たぶん直接のreferenceとなるのはForm 1099-Bのbroker用instructionではないかと思われる。これの”Reporting”の項に、購入代金や売却収入が外国通貨建ての場合の説明がある:

When reporting the purchase or sale of a security traded on an established securities market, you must determine the U.S. dollar amounts to be reported…as of the settlement date, at the spot rate or by following a reasonable spot rate convention.

とのことなので、購入および売却時それぞれのsettlement date(受渡日)のスポットレートでUSドルに換算することになる。このinstructionから参照されているCFR 1.6045-1(d)(8)にはもっと具体的な例が挙げられており(この例はwash saleの話が混ざっているのがやや紛らわしいのだが)、そこからもこの理解でよさそうということがわかる。

ここでのスポットレートの具体的な決め方は明記されていないが、銀行やFX屋などが公開しているレートを使うのでいいのではないかと思われる。実際、もう少し一般的な文脈での為替レートについて説明したIRS資料では、公開されているどんなレートでもそれを一貫して使うならばよいという記述がある。ちなみに、筆者自身は、この資料から参照されている別な資料の末尾にリストされているOanda.comを使っている。以前のサイトは(自作)スクリプト経由でまとめて複数日付のレートを取得できて便利だったからなのだが(もしかするとそういう使い方はサイトポリシーに反していたのかもしれないが…)、少し前に全面リニューアルされてそういう使い方ができなくなってしまった(少なくとも筆者の以前のスクリプトは動かなくなった)。

上記instructionとCFRの記述でもう一つ重要なのは、為替換算の日付がtrade date(約定日)ではなくsettlement dateだということである。一方、譲渡益がshort-termかlong-termかなどを決めるためのholding periodの計算にはtrade dateを元にした日付を使う(IRS Pub 17参照)ので、たとえばForm 8949のDate acquiredやDate soldは約定日を書くことになるが、Proceedsやcost basisの欄に書くドル建ての金額の計算にはこれらの日付とは(一般には)違う受渡日のレートを使うことになる。余談ながら、日本の場合は常に(といってもレート計算の必要はないのだが)受渡日を使うのが原則で、アメリカとは違っている(もっとも、アメリカと違ってholding periodが問題になることも少ないだろうが)。

コメント 1 件

  1. 日本で発生したキャピタルゲインの税金処理: 追々記 Says:

    […] 一週間ほど前にこのタイトルの件で書いた「追記」のblog記事では、実は一つモヤモヤした部分が残っていた。金融機関が作成することになっているForm 1099-Bのinstructionの規定を、(金融機関が外国に存在するため)1099-Bが発行されない場合の一般の納税者に適用してもいいのかということである。状況からすれば適用できるはずと考えるのが自然だと思うが(アメリカ国内なら1099-Bの発行は義務だとはいえ、その有無によって譲渡益の計算およびその課税方法が異なるのは不自然だから)、やはり微妙な気持ち悪さは残る。そこで、もっときちんと調べて、より根本的と思われる資料を発見し、この理解でよさそうだということを確認した。ついでに、前回やはりやや曖昧だった「スポットレート」の定義についても、もう少し具体的な規定を発見した。以下はその調査内容の詳細である。 発見した資料はCode of Federal Regulations (CFR)1.988-2である。この(a)(2)(iv)に、米ドル以外の通貨建てで株式を売却した場合のbasisとproceedsをドル建てでどう計算するかが非常に明確に規定されている。すなわち、 […]

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