ちょっと必要(後述)に迫られて、ボーナスからの税金・社会保障費の天引き額を精密に見積もる必要がでたので調べてみた。結果の数字だけ先に書いておくと、カリフォルニアの場合では込み込みで約40%差し引かれる。
天引き(withholding)の計算において、ボーナスは”supplemental wage”と呼ばれている(たとえばIRS Pub 15のSupplemental Wagesの項参照)。Supplemental wageに対するfederal income taxの天引き(withholding)は、IRSの出した最新のNoticeによれば一律かつ定率の22%(Pub 15にはこれ以外の方法も記載されているが、筆者の勤め先はこの定率方式を採用しているようだ)。
ちなみに、通常はこの天引き率は上記Pub 15に記載されており、2017年は25%だった。トランプ減税の結果、全般的に天引き率は下がっているようだ。ただし、とくにカリフォルニアのように州所得税が高いところでは、ある程度以上の所得のある人には州税控除の制限が増税に働くので、最終的に減税になるかは別途正確に計算してみないとなんともいえない。
Supplemental wageに対するCA income taxの天引き率は、州政府の資料によれば固定の10.23%。
これらincome taxの天引き対象所得額からは、401(k)のpre-tax拠出分は除かれる(その他、federalの場合のHSAなど、他にも除かれるものはあるかもしれないが、筆者自身では経験がないので不明である)。一方、通常の給与からの天引きとは違い、この定率方式での計算ではexemptionの数などに応じた控除はない。
Social SecurityとMedicareの天引きは最新の資料によればこれまでと変わらず、それぞれ6.2%と1.45%(ただし前者には上限あり、後者は高所得者の場合の加算がある)。
CAのSDIの天引き率は、最新の資料によれば1%。これは昨年までの0.9%から上がっている。
ということで、合計すると40.88%。通常の給料についてもほぼ同様なのだが、概して金額が大きいボーナスの場合はとくに、これだけ抜かれているとかなりがっくりくるものがある(もちろん、最終的に確定する税金の額とは若干違いはあるのだが)。
なお、正確な値を調べたのは、ボーナスの大半をafter-tax 401(k)に拠出しようと思ったからである。一般的に言えばpre-taxをmaxoutする前にafter-taxに拠出するのは愚かだろうが、以前のblogで書いたように、現在の勤め先のプランではafter-taxからの即時in-plan Roth conversionが認められており、after-taxにもかなりの魅力がある。もし年の途中で(クビまたは自分の意思で)転職することになった場合、新しい勤め先が同じ条件を持っていることはあまり期待できないような気がする。そこで比較的まとまった額ですぐには使う必要もないボーナスについてはまとめてafter-taxに入れてしまうのも有効なのではと思ったのである。この場合、pre-taxのmaxout前にクビになり、その後年内に401(k)のある会社に就職できなかったりするのが最悪のシナリオだが、諸々の条件を考えるにその可能性はかなり低いだろうし、このシナリオの場合は所得も下がってpre-taxの価値が相対的に下がるし、そのpre-taxの代わりにRothに拠出したと考えれば割り切れる、ような気がする。
ここで、単にafter-taxに最大限拠出することだけが目的なら、単にオンラインで拠出先を変更して拠出率を最大にしておけば済む話で、天引き率の正確な値などは必要ない(天引きの結果指定した拠出率に届かない場合は、単に残りの金額が拠出される)。しかし、ここでpre-tax拠出に対する雇用者拠出(company match)が問題になる。ボーナスにもmatchは付くのだが、それはpre-tax拠出に限定される。最終的にmaxoutまでたどり着けば、筆者の勤め先プランではtrue up(上記blog参照)があるのでボーナス額も計算に入れたmatchがいずれは手に入ることにはなる(はずな)のだが、やはり年の途中で退職したりするとtrue up分はもらい損ねることになる。ボーナスのように金額が大きい場合はその効果も無視できない。
となると、matchが付く上限まではpre-taxに拠出(筆者の現在の条件ではgross bonusの4%)し、残りを最大限after-taxに入れるのが最善ということになる。筆者のプランではpre-tax, after-tax合わせて90%まで拠出できることになっているので、単純に4%と86%をそれぞれ拠出率に指定する手もありそうだが、ここでさらに天引きによる拠出額不足が加わると、pre-tax分の4%がうっかり削減されたりし兼ねないのではないかというのが心配になる。プラン運営者のVanguardに電話して聞く手もあるが、はっきり言ってこの手の細かい問題に対するアメリカのカスタマーサービスの答えはまったく信用できない。となると、まず天引き額を正確に計算し、それを除いた上で不足が出ないようにpre-taxとafter-taxへの拠出率を指定するのが正解であろう。すなわち、40.88%が天引きされるので、matchを取るために4%をpre-tax拠出率として指定し、残りの55.12%をafter-tax拠出率とするのがもっとも安全かつ最適ということになる。
このような非定常的な操作では他にも罠がありそうなので、いざやってみると何かの落とし穴にはまるかもしれないが、まずは次回ボーナスでうまくいくかが見ものである。
2022年March28日 1:51 PM
[…] ボーナスの源泉徴収額は通常の給与とは計算方式が異なる(以前のblog参照)。筆者の勤め先はflat rate方式を採用しているので、このテンプレートでもその方式にのみ対応している。これが”Flat tax rate for bonus”で、連邦、Californiaともこの数年変わっていない。 […]