Mar 07

確定申告の季節になり、アメリカでの申告(本格)デビューを果たすべく奮闘中。たださえ「敵地」でわからないことだらけのうえに、日本と比べてもえらく税制が複雑で、調べたり人(専門家を含む)に聞いたりして、ようやく仕組みがわかってきた。ということで、自分の理解を整理するために、日本の場合と比較して、税負担がどの程度で、名目の給料に対して手取りがどの程度になるのかを計算してみた(3/17追記: 州税の計算式を一部間違えていたので訂正)。

いろいろ書いているが、要点としてはこんなところ:

  • アメリカの税制は複雑怪奇(日本の場合、大抵は申告すらしなくても大体最適化されている)
  • かつ、一般的に日本よりも負担が重い(同じ収入だとして手取りで1割くらいの差が出る)
  • 住むのがシリコンバレーだとすると、生活費の負担も重い(別エントリ参照)ので、日本の給料に対して最低3割増し、できれば5割増しくらいの給料がないと同じ水準の生活は厳しそう

日本の税金

まず日本の場合。単身(扶養家族なし)の会社員で、名目の給与が1000万円/年、社会保険(健康保険+年金)の保険料率(会社員の場合、保険組合などごとに異なる)が9%というケースで考える。さらに、預金が1000万円あり、その利子を(課税前)年利1%で得ているとする。人によっては住宅ローンとか高額医療費とかの控除項目もあるだけろうけど、簡略化のためその辺はなしと仮定。

給与の課税相当額は以下のようになる。

  課税対象所得
  = 給与 - 給与所得控除 - 社会保険控除 - 基礎控除
  = 1000 - 220 - 90 - 38 (万円)
  = 652万円

給与所得控除は国税庁のページの計算表で計算する。社会保険控除の額は上の仮定から。基礎控除は定額。

これにかかる税金を所得税の税率にしたがって計算すると、87万6500円。

さらに、住民税(10% + 4000円、地域によってはこれに若干の上乗せがあるが、ここでは上乗せなしと仮定)が65万6000円。なお余談ながら、住民税は例外的な上乗せだけじゃなくて税率自体が市や県によって大きく違うという誤解が結構あるようだが、実際は定率である。

一方、預金の利子は、課税前で10万円。これに国・住民税あわせて20%が源泉徴収されて2万円引きになる。

天引きされて自分では使えない社会保険分を考えると、結局手取額は

  給与 + 利子 - 所得税 - 住民税 - 利子の税金 - 社会保険
= 1000 + 10 - 87.65 - 65.6 - 2 - 90 (万円)
= 764万7500円

ということで、3/4強の手取りが得られることになる。

アメリカの税金

次にアメリカの場合。モデルは上の日本のケースとほぼ同様とし、現在のレートでほぼ同額の10万ドルの(名目)給与があり、さらに銀行預金で1000ドルの課税前利子を得ているとする。なお、United Statesというくらいで、(日本と違い)地方税は州によって異なる。ここではCaliforniaの場合で考える。

アメリカの場合、なにしろ制度が複雑なので、計算も一筋縄ではいかない。まず、給与から天引きされる項目を列挙する。

  • Social Security Tax(年金保険料に相当)。給与の6.2%なので、このモデルの例では$6200
  • Medicare(高齢者医療保険料)。給与の1.45%。このモデルの例では$1450
  • 401(k)の個人年金拠出分。2008年は最大$15500
  • 健康保険の自己負担分。これは個人差が激しそう。自分の例を流用して、ここでは$900と仮定する。
  • Flexible Spending Accounts(FSA)の拠出(天引き)分。FSAは、いわば医療費控除の個人版みたいなもので、あらかじめ申告した額を給料から天引きし医療費の足しにするというもの。詳しくはFI Planningの解説を参照。これも、使うかどうかも含めて個人差が激しいと思うが、まず$1000拠出したと仮定する(医療費が高いので、このくらい使う人は多いだろう)。

(他にもあると思うけど、自分自身で利用してないのでここでは考えない)

以上のうち、最初の二つは課税対象所得となる(社会保険控除がある日本とは異なっている)。残りは非課税(厳密には401(k)はちょっと違うが、それは後述)になる。まずはoptionalな部分も含めて節税対策をフル活用したとすると、課税対象の給与所得は

  名目給与 - 401(k)拠出分 - 健康保険自己負担 - FSA拠出分
  = 100000 - 15500 - 900 - 1000
  = $82600

次に利子所得(ここでは$1000)について。アメリカの場合、利子は給与その他の所得と合算されて総合課税される(分離して源泉徴収される日本とは違う)ので、これを加えた額がここでの基本となる課税対象所得(AGI: adjusted gross incomeと呼ぶ)。

  AGI = (課税)給与所得 + 利子所得
  = 82600 + 1000
  = $83600

ここでCaliforniaの州税を計算する必要がある。これは、州税として払った額を連邦税での控除対象にできるため。なお、実際の申告では、W-2という源泉徴収票に天引き済みの州税額が記載されているのでこういう計算をする必要はない。また、実際に控除できるのは申告する対象の年に天引きされていた州税分のみ。確定申告の結果追加で払うことになった税額の控除は翌年になる(州税の還付があった場合は翌年には所得とみなされる。IRSおそるべし…)。したがって、ここでの思考実験で計算する額と実際に控除できる額には開きが生じるのが普通。ちなみに、日本の場合は地方税は国税の控除対象ではない。ここも日米の税制における違いの一つ。

州税の対象額は、AGIを元に以下のように計算される。

  課税対象額 = AGI - 標準控除
             = 83600 - 3692
             = $79908

(個別に控除できる項目があったりすると変わってくるが、ここは単純な例で考えている)

この額に対してCalifornia Tax Rates and Exemptionsのページにしたがって計算すると、

  $2071.76 + $47055を超える部分の9.3%
  - 人的控除($99)
  = $5018.88

州税が求まったところで連邦税の計算に戻る。先に求めたAGIから、さらにいくつかの控除項目が適用される。控除には大きく分けて二つあり、

  • 項目別控除(itemized deduction): 高額の医療費、寄付金、州税など、控除できる支出を個別に積み上げたものの合計
  • 標準控除(Standard Deduction): 具体的な支出と関係なく控除できる金額。ここのモデルの例だと、2008年では$5450

項目別控除と標準控除はどちらか一方(普通は額の大きい方)の選択になる。先に州税を計算したのは、項目別控除額が標準控除を上回るかどうかを調べるため。ここでは標準控除額の方が大きく、他に控除できる項目はないという仮定(実際、大抵の控除項目には所得に対する比率の下限があり、10万ドルの給与がある人が請求できる控除項目はかなり限られている)なので、結局標準控除を選択することになる。

これに加えて、誰でも控除可能な人的控除(personal exemption、日本の場合の基礎控除と扶養控除をあわせたようなもの?)があり、ここの例の場合では$3500。

以上を差し引いて課税対象額が決まる。

  課税対象額 = AGI - 標準or項目別控除 - 人的控除
             = 83600 - 5450 - 3500
             = $74650

この額に対して、IRSの申告手引き(Form 1040 Instruction)にある税率表を使って税金を求めると、$15013。

したがって、手取額は

  給与 + 利子 - 天引き額 - 連邦税 - 州税
  = 100000 + 1000 - (6200 + 1450 + 15500 + 900 + 1000)
    - 15013 - 5117.88
  = $55819.12

ただし、天引きされている額のうち、401(k)とFSAの拠出分は一応自分で使えるお金なので、それを手取りの一部と考えれば、

  実質手取額
  = 55819.12 + 15500 + 1000
  = $72319.12

日本の場合は上記の通り手取額764万円だったので、一応、(為替を$1=100円と考えると)それほど差はないようにも見える。しかし、さらに突っ込んで考えるといろいろ落とし穴がある。

  • 上の例ではいろいろ頑張って節税したと仮定している(具体的には401(k)とFSA)。これ抜きで計算し直すと、連邦税 $19185、州税 $6563となり、一気に$5000強も税負担が増す(ちなみに、州税が標準控除額を上回っているので、項目別控除を適用することになる)。手取り額もその分減るということになる。一方、日本のケースでは節税の工夫どころか確定申告も不要。日本の会社員が税金的にはいかに優遇されているかがわかる(知らしめずに支配しているという説もあるが)
  • 上では401(k)拠出分を単純に控除されたかのようにして計算したが、実際には課税が繰り延べられているだけで、401(k)口座から引き出した時点で所得として課税される(このあたりのことは以前詳しく検討した)。課税されるのは基本的に引退後なので、多少低い税率が適用されるとしても、たとえば25%だとすると$3875の税負担が残っていることになる。繰り延べられている間上手に運用して複利効果を活かさなければ節税の意味もないということになってしまう。
  • FSAは、節税的には確かに役に立つが、年初に決めた拠出額を実際の支出が下回っても払い戻しがないというリスクがある。日本だと、10万円超から医療費控除が効くので、医療費が高かった場合の節税についても事後で済む。それに、FSAが節税効果として有効なくらい医療費が高い($1000くらいは簡単に超える)ことの方がそもそも問題というべきだろう。

401(k)の繰り延べ課税効果を実質税率10%(根拠はないけど)と仮定すると、同じ給料でも大体7.3%ほど手取りが少ないことになる。さらに、「家計レビュー」のところで計算したように、アメリカ(というかシリコンバレー)暮らしはコスト高。なかなか単純な比較は難しいが、自分自身の過去の出費と比較してみると、ざっくり25%くらいは余分に必要という感じ。以上を合わせて考えると、同じような生活レベルを維持するなら、日本の給料の30%増しくらいはもらっていないと実質的には損だと言えそう。昇給が少なく、クビにもなりやすいという分のプレミアムも考慮すると5割増しくらいでないと泣きをみるような気がする(まあ、どこで働くかというのはお金の問題だけではないが)。

日米の税制の比較(まとめ)

以下は日米の(所得)税制を比較して感じたことのまとめ。

  • 日本の会社員の場合、やはり給与所得控除が強力。普通の中流階級の給料なら、大体2割以上は何もしなくても控除されるので。アメリカだと401(k)にフル拠出しても10万ドルの場合で1.5割程度だし(しかも厳密には「控除」ではない)、その他に大口の控除対象はほとんど見当たらない。
  • アメリカの場合、利子とか配当が総合課税されるのも痛い(おまけに計算もめんどくさい)。たとえば利子は、給与10万ドルのケースだとすると連邦税は税率25%で課税され、これに州税もかかるので、Californiaの場合で合計34.3%も税金で取られることになる。日本の場合は源泉徴収の分離課税で国・地方税あわせて20%。こういう収入が多ければ多いほど日米の負担の差も広がることになる。なお、配当金については長期保有であれば”qualified dividend”扱いになり、連邦税は優遇税率(15%)になる。ただし、それでも州税はそのままかかるので合計25%ほど取られるし、優遇税率自体がBush減税の効果なので、Obamaになって撤廃という噂もある…。日本もいまは優遇期間なので国・地方あわせて10%のみ。優遇期間が終わっても20%なのでまだアメリカより安い。
  • 全般に、アメリカの場合税金を計算するところでいろんな選択肢が多くて計算や節税対策がとっても面倒(州税で控除するかどうか、FSAを使うか、401(k)に拠出するか、など)。
  • 今回の例には出てこないが、アメリカの場合、株式などの売却損(capital loss)のうち一定額は通常の所得税部分の控除対象にできる。控除可能項目が少ないだけにこれはちょっと嬉しい(損が出れば、の話だけど)。日本だと売却益・損は完全分離課税なので、売却益と相殺することしかできない。
  • アメリカの場合、とくに控除が少ないだけにsocial securityとmedicareの天引き分が課税所得として加算されているのも痛い。将来自分がもらうお金・サービスで、そのときには課税されない(といってもこれにも例外がある…)から、 という理屈なのかもしれないが、social securityはまだしも(資格さえ満たせば居住者でなくてももらえる)、とくにmedicareについてはいつまでアメリカにいるかわからないような人間にとっては、天引きされてその分に課税までされた上に自分ではその恩恵に預かれない可能性も高いわけで、まったく納得のいかない仕組みだ。ちなみに、日本の場合は上述の通り、払った年金の保険料は社会保険控除により非課税になる(年金をもらうときに課税される)。追記: 実際の申告のためにさらに調べたら、medicare天引き分は医療費控除の足しにできるようだ。とはいえ、控除可能なラインが高いので、実際に恩恵を得るのはかなり難しそう。
  • 地方税は、実は微妙にCaliforniaの方が安い。日本の場合定率で10%なのに対し、Californiaは累進税率かつ最高税率でも9.3%なので。

以下の表は、日米の国税(連邦税)の税率について、大体同じくらいの所得クラスを並べて比較したもの(アメリカの税率は毎年のように変わっているが、これは2008年のもの)。アメリカ側の所得金額は$1 = 100円の為替レートを仮定して円換算している。

日本 アメリカ
所得金額(万円) 税率 所得金額(万円換算) 税率
-80.25 10%
-195 5% 80.25-325.5 15%
195-330 10% (15%)
330-695 20% 325.5-788.5 25%
695-900 23% 788.5-1645.5 28%
900-1800 33% (28%)
1800- 40% 1645.5-3577 33%
3577- 35%

一見して、アメリカの税制が金持ち優遇・貧乏人冷遇なことがわかる。具体的には、

  • 最低税率は日本より高く、最高税率は日本より低い
  • 所得額1800万円を超えるくらいまでの税率も総じてアメリカの方が高い

ちなみに、日本の税金の額がアメリカを上回る所得ラインをこの表に基づいて計算すると、1958万円になる。これは控除後の課税対象額であることも考えると、収入が2000万円を超えるくらいまでは常にアメリカの方が税負担が重いということになる。それを超えると、5%の税率の差があるので、急激にアメリカ側の負担が軽くなる(たとえば1億円相当だと、ざっくり400万円くらいの差になる)。ただでさえ所得の開きも大きいのに、税制でもこれだけ金持ち優遇では、貧富の差も拡大するわけだ…。

コメント 18 件

  1. shiro Says:

    控除を増やすには家を買う、という手もあるにはありますが… (利子が控除対象)

  2. jinmei Says:

    > 控除を増やすには家を買う

    住宅ローン関連の控除が、節税効果の大きな要素であるという点ではおっしゃる通りですね。ただ、控除額を増やすというのを目的にするには、家はあまりに高価な買物だということが問題です(そもそも、自分が支払う利子負担の方が控除効果より大きいのが普通でしょうし)。それから、日本からアメリカに期限付きのつもりで来ている人にとっては、買った家を将来的にどうするのかという点も悩ましいですね。

  3. Anonymous Says:

    日本の場合は他の要素がでかいからなあ・・・
    人によって年金だったり医療費だったり車だったり食料品だったり・・・を考えるとアメリカと比べて支出が低いとはいえないんだよな

  4. Anonymous Says:

    小分けにすると負担が低いように見える。
    でも総合的に見ると負担が高いのが日本。

  5. Anonymous Says:

    ※3も4も具体例を出さないとわからないんですが・・・

  6. jinmei Says:

    > 人によって年金だったり医療費だったり車だったり食料品だったり・・・を考えるとアメリカと比べて支出が低いとはいえないんだよな

    (ここでは「支出」のことにはあまり触れてないというのはさておき)筆が滑って過度に一般化してるかのような記述も含まれていたかもしれませんが、個人差のある話だということは認識しているつもりです。たとえば車については、日本の大都市で所有している人なら、ガソリン代・駐車場代・車検代などは、仮に同じような利用形態で比較したとすればアメリカ(シリコンバレー)よりも高くつくでしょう。ただ、医療費(健康保険料と窓口負担と薬代の合計)については、大抵の人にとっては日本の方が安上がりなのではないかと思います。

    あともちろん、異なる国の間でかかる費用の絶対値を比較する場合は、為替レートによっても結果は変わってきますね。ここでは一貫して$1=100円を仮定していますが、過去1年くらいの間でも上下に10%くらいは動いているので、レートによっては結論が逆転するようなこともあり得るでしょう。

  7. Anonymous Says:

    年金は数年前に「今(当時)の40歳以下はもらえる額のほうが少ない」って計算結果が出てたっけね。
    今政府は全員がもらえる額のほうが多い試算を出してるけど、将来平均年収が2000万になったと仮定して試算してるのには驚いた。

    政府の出してるモデル仮定とか、ああいう試算ほどあてにならない物はない。

    年金も税金と同じようなもんだよ。

  8. Says:

    高所得者に有利であるのは、質は違えど日米同様。

    税制度だけで、比較するには早計すぎるのでは?

    日本、福祉の逆機能について。

    http://blog.goo.ne.jp/syarin_saihakken/e/76054fb81bf0848023b1e362e4a7aa20

  9. jinmei Says:

    > 税制度だけで、比較するには早計すぎるのでは?

    これは、どの部分の比較のことかわかりませんが、税制度の違い(それもその一部)だけをもって、一般論として日米のどちらがより高所得者に有利な(または逆に貧困層に厳しい)社会であるかといった比較をしたつもりはありませんでした(最後の一文は確かにやや断定調ではありますが)。全体としての比較にはいろんな切口がありますし、どの部分に焦点をあてて比較するかによっても結果が変わってくるという点ではご指摘の通りかとは思います。

  10. anonymous Says:

    市によりますけど、カリフォルニア州はSales Taxも高いですね。高いとこだと9.25%、でも食料品にはかからないのは助かりますね。
    Itemizedでうまくやれればいいんですけど、Singleの基礎控除だけだと、結構きついです。

    若い人の約3割が健康保険未加入、個人で入るのはかなり大変(Medical , Dental ,Drug , Vision)、全部入って家族も入れたら本当に生活できない。低所得者の加入は、ほとんど無理。
    ただ、低所得者向けにwelfareが充実してるから、それで助かっている人も多いです(だから税金が高いという事も事実)

    知り合いの日本人で、子供にアメリカ国籍を取らせるため、妊娠してこちらに来て(F Visa)、無料で子供を生んで、フードチケットなどをもらって生活している人もいます。そのwelfare分の税を払っていると思うとどうかなと思います。

    脱線してしまいましたが、会社でアメリカに長期出向もしくは転籍する時、税金の違いから大抵は増額した給料を出します。そのままの給料で同じレベルの生活を続けるのは難しいのが現状です。

  11. jinmei Says:

    > Itemizedでうまくやれればいいんですけど、Singleの基礎控除だけだと、結構きついです

    itemizedも、たくさん挙げていくと今度はAMT(エントリ内では触れませんでしたが)の餌食になったりしそうで、どう頑張っても結局かなりの負担になりそうですよね。

    > 知り合いの日本人で、子供にアメリカ国籍を取らせるため、妊娠してこちらに来て(F Visa)、無料で子供を生んで、フードチケットなどをもらって生活している人もいます。そのwelfare分の税を払っていると思うとどうかなと思います。

    制度を悪用する人はなくならないでしょうから、払った税金のうちいくらかが理不尽な使われ方になるというのはやむを得ないコストかと思います。悪用する人がいるからといってsafety netをなくしていいというわけにもいかないので、結局は全体としてどの程度有効利用されているかということになるのでしょう(それを判断できるような数字は僕は持ってませんが)。

  12. Anonymous Says:

    神明達哉さん。日本の民主主義とアメリカの民主主義に就いて調べていて、ここにたどり着いて学ばせて戴き有り難うございます。
    そこで質問なのですが、日本では社会保険など事業主負担二分の一がありますがアメリカではどうなのでしょうか?また日本の様に源泉徴収されて毎月納付残を手にするのでしょうか?日本では自分の年俸を知らない人が多いです。サラリーマンの所得申告の代行を事業主がしています。アメリカは自己申告、自己納付で税理士依頼で納税金額を算定されるのでしょうか??一度手にした金を自分で計算して納付する。のと事業主が変わって納付してくれる。ここが民主主義への係わり方を決める事に成るのだと思うのです。この政治に俺の金払いたくない。又払いたい。この選択肢が自由民主主義の根幹だと思えます、民主主義の本家を名乗るアメリカの税制。零細事業主に納税事務義務を負担させる飼い慣らしての民主主義を名乗る日本、アメリカの占領下にある日本の仕組みなのですね。
    税納付の自己責任が無い国。後世に残すことは無念です。

  13. Jinmei Tatuya Says:

    会社員の場合は、social security(年金)、medicare(高齢者健康保険)とも労使折半です。この点は日米ともほぼ同じですね。

    給与からの源泉徴収はアメリカでもあります。ただし徴収される額を個人ごとに調整可能です(取られすぎになると思えば減らせるし、逆に他にも所得の見込みがあるので多目にしておくとかいうのもありです)。

    納税金額の計算は個々の納税者でやることになります。ただしアメリカの場合に問題なのは、税制があまりに複雑なため多くの人は自力で計算できず、税理士や専用の商用ソフトウェアなどに計算させないといけないことです。とくに税理士を使う場合は費用も高額ですし、ソフトウェアを使って自力でやる場合はかなり時間のかかる作業のため、いずれにしても個人の負担はかなり大きくなります。納税意識を持つという意味ではいいことでしょうが、アメリカの場合は負担によるマイナスの方が目立っているように個人的には思います。

  14. たこやき Says:

    シリコンバレー在住20年としての意見ですが、所得税に関しては住宅ローンの控除がやはり大きいので、10万ドルの収入があって数年住むつもりなのであればやはり不動産への投資は必然だと思います。節税ということもありますが、住宅に対する資産としての価値観が日本とは全然違います。まぁ今のシリコンバレーじゃ10万ドルだと小さい郊外のコンドということになりますが。。。

    また「ソフトウェアを使って自力でやる場合はかなり時間のかかる作業」と書かれていますが、ここで挙げられている例のような単純なケースであれば無料でオンラインでもできるし、時間も30分もかかりません。私も最初は自分で確定申告する不安はありましたが、慣れてくるとこっちの方が節税に対する意識が深まり良いと思うようになりました。

    別途消費税に関して申し上げると、日本では数%単位で何に使われるか明確にされないまま上げられてきていますが、アメリカ(少なくともカリフォルニア)では州の基本税率に加えて、市や郡が0.1%単位で何に使うか住民投票が行われて決められます。もちろん市や地域によって税率が変わるのは煩わしいですが、大きな意味で国民の税金に対しての意識が高いということは間違いないと思います。

  15. 名無しさん Says:

    共和党政権時代にアメリカの億万長者が、自分が払っている税金は
    自分が雇っている運転手が払う税金よりも安い、などと豪語して
    いたのを見た記憶がある
    税率の制度的な数字と実際の数字は乖離が甚だしいようですね

  16. Jinmei Tatuya Says:

    運転手より安いと豪語したという人の話は知りませんが、Warren Buffettが自分のtaxは秘書のより低率だと言ったエピソードは有名ですね: http://money.cnn.com/2013/03/04/news/economy/buffett-secretary-taxes/index.html もっとも、Buffettの場合は、このことを金持ちにもっと課税すべきだとする理由として使っているのですが。

    アメリカの税制には、とくに富裕層に有利に働きやすい控除やその他の抜け道が多くて、それが逆進性と格差拡大につながっているという点もよく指摘されていることかと思います。

    (一つ前のコメントにもいま気がついたのでついでに): 不動産(より具体的には持ち家)への投資が成功する場合はもちろんあるでしょう。事実としてシリコンバレーでは住宅価格は右肩上がりを続けていますから、今日が投資の終了時点だとすれば住宅への投資が大成功だったということになる人は多いと思いますし、今後もその傾向が続くことを仮定して100万ドル前後の家を借金して買っている人はまわりにも見受けられます。私は臆病者なので、全資産の圧倒的割合を今後の住宅価格の変化に賭けて単一の「銘柄」に大きな借金をした上で投入する勇気がなく、いまだに借家住まいですが。

  17. 年収1000万円以上の人の手取り収入・割合について。 | K's Affiliate Strategy. Says:

    […] つまり「パレートの法則(2:8の法則)」ではありませんが、税金の場合は 「上位10%未満の人達が全体の6割強の税金を納めている」 という事です。 先に見た「年収1億円」の4割近い所得税率を見ても分かる通り、何だかんだでお金持ちほど多額の税金を納めて国民を助けてくれている・・・と言えます。 ちなみに日本とアメリカの税金を比較した場合、所得金額が2000万円程度までは日本の方が税金が軽くなるようです。 ただし、それ以上の所得になるとアメリカの方が税負担が急激に軽くなり、1億円になると「約400万円」ほど日本の方が税金が重くなるという情報がありました。 そう考えると、ごく一部の金持ちの人であればアメリカの方が税が軽くなるものの、大多数の人にとっては日本の方が税負担が少ないと言えます。 参考: >日米税金比較 […]

  18. 雑所得 Says:

    https://www.okumura.ne.jp/blog/1370/#:~:text=アメリカ所得税率は10,最高所得税率となる。&text=日本と税率だけで,アメリカの方が高い。

    ↑全部URL

    2016年は独身者で1万350ドル(110万円)未満、既婚者だとその倍の収入であれば納税額がゼロとなり、残りの45%の税率は10%~15%のカテゴリーになるわけだ。アメリカ人はそんなに貧困層が多いのか?アメリカに行ってみると、高級車や何億円もの住宅街がずらっと並んでいる。日本と税率だけで比較すると、中産階級の所得税率はアメリカの方が高い。何故なのか。それは、収入から控除されるものが日本と比べ物にならないくらい多いからである。特にアメリカでは雑控除(miscellaneous itemized deductions)が多い(これについては別の機会に述べる)。

    ビル・ゲイツやジョージ・ソロスなどの超富裕層も税率は15%程度である。例えばキャピタルゲイン課税は長期譲渡(1年超保有)の場合、税率のカテゴリーが10%~15%の人であれば税金はゼロ、39.6%適用者であれば20%、その中間の人は15%となる。前共和党大統領候補のミット・ロムニーではないが、Tax Tableを見ながら、勤労所得を少なくし、いかに配当所得などの不労所得を増やすのが節約につながるとしている。日本ではこの種の節税対策は全くない。従ってアメリカ人と同じ収入では税負担が3倍も違うといわれている。

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