投資活動再開にあたり、日本に残してきた米国ETFのiShares EEMをUS側でVanguard VWOに乗り換えることを検討していた。ちょうど株価が総下落して買い直しにはいいタイミングということもあり、日本出張の機会を捉えてようやくこれを実行した。
まずはN村證券側にEEMの売却を指示。代金は外貨(USD)のまま某銀行の外貨口座に振り込ませる(幸い、この部分の送金手数料は無料)。一方で、Fidelity側ではVWOをほぼ同額購入。
(逆説的だが)幸いなことにEEMの売値は買値を下回っていたので売却益は出ておらず、余分な税金は払わずに済む。形式的には損をしたように見えるが、ほぼ同種類の商品をほぼ同額すぐに買い直しているので、この操作による本質的な損得は手数料の部分だけということになる。
これを具体的に考えてみる。今回の売買関連の結果として余分に払わなければいけない手数料は以下の通り:
- N村證券に払った売(買)手数料
- Fidelityに払った(売)買手数料
- EEMを売却して得たUSDをアメリカに送金するとした場合の送金手数料
1番が突出して高く、約$133。2番は定額の$10.95、3番は銀行にもよるが、大体$30程度。
一方、乗り換えに伴って払わなくて済むようになる(もしくは安くなる)手数料は以下の通り:
- N村證券が徴収する外国株式口座管理料
- EEMとVWOのexpense ratioの差分
1番は年間3150円ということで、約$30/年。2番は現時点では0.49%。仮に1万ドル分だとして、話を簡略化して基準価格に変動がないと仮定すれば、毎年$49。したがって、2年ちょっともすればもとが取れてしまうことになる。
あと実は、たまたまだけど売却から購入の間に価格がさらに下がっていたので、(ほぼ)同じものを安く買い戻せた形になっていて、その分がかなり効いている。具体的には、EEM売却価格が$38.60/share, VWO購入価格が$35.89/share。この二つのETFの構成銘柄が同じだと仮定すれば(対象indexも一緒なので妥当な仮定だろう)、同じものを約7%安く買い戻したことになる。投入資金を1万ドルだとすれば、この部分だけですでに$700ほど実質的に得をしたことになるので、細かい手数料分の計算はほとんど誤差レベルになってしまった。まあ、これについては逆の結果もあり得るので、たまたま運がよかっただけということだが。
ということで、確定申告(日米とも)完了まで気は抜けないものの、財政面での懸案の一つを比較的ロスのない形でクリアできてすっきり。
それにしてもN村の高手数料体質には腹が立つ。外国株だから、ということもあるにせよ、ほぼ同内容の売買に対してfidelityの10倍以上も売買手数料を取る上に、さらに毎年$30も管理料を取るとはまったくけしからん。管理料は、上のlinkにもあるように割引とか無料化とかのオプションもあり得るのだが、日本の居住者でないとこれらの割引サービスが利用できないそうで、外国に住所を移したというだけで高手数料の餌食になってしまう。
もっとも、非居住者に冷たいという点に関していえばN村に限った話ではなく、調べてみた限りでは、いわゆるネット証券の場合だと非居住者になるにあたって既存の口座をキープすること自体できず、解約するしかない(そもそも現在やむなくN村に預けているのも、某R天証券の口座を解約せざるを得なかったため)。なぜ非居住者に対してこんなにサービスが悪いのかは不明だが、「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術」にも記述があるように、税金関連の処理が面倒と思っているからという理由くらいしか思いつくところがない。このグローバルな時代にこの鎖国ぶりはお粗末すぎる。リーマンブラザーズ買収とかいう前にグローバル顧客をもっと大事にしてほしいものだ。
2009年October20日 8:47 PM
はじめまして。
これからETFを始めようとしている初心者です。
日本国内の証券会社を比較しているのですが、
EEMやVWOを主に取引する場合、どの
証券会社が安くて便利かアドバイス
頂けましたら幸甚です。
よろしくお願いします。
2009年October20日 11:43 PM
kusubaeさん、はじめまして。
せっかくのご質問ですが、おそらく私では適切なアドバイスは差し上げられないように思います。このエントリの内容からも明らかかと思いますが、私は現在日本の居住者でないため、実際上、日本国内での新規の買付はできない状況です(実際上というのは、単に証券会社側の都合だと思われるためです)。ここで書いたEEMの売却は例外的対応で、それを除くとここ1年半ほどの間日本国内ではまったく取引をしていません(買付・売却とも)。そういうわけで、そもそも国内の海外ETFの取引コストの最近の動向もほとんど把握していません。ここ1年くらいの間にネット証券間のコスト競争も激しくなっているようですし、おそらく私が売買していた頃とだいぶ状況が変わっていると思いますので、より最近の国内動向に通じておられる方におたずねになるのがよいと思います。
検索でここにたどりついたのでしたら、おそらく同時に見つけられているかとは思いますが、たとえば「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」(http://randomwalker.blog19.fc2.com/)さんのblogには海外ETF関連のエントリも多数掲載されているようです。