1週間ほど前に2021年分のtax return(確定申告)を完了した。申告作業に要したのは約13時間40分、2018年度分から利用しているFreeTaxUSAに今回もお世話になり、費用はState分のみでクーポン割引後の税込み$13.49であった。Federal、Californiaとも(いまのところ)ペナルティはなく、例外的にCaliforniaでは還付が生じて、全体では$100ほどのoweとなった。Safe harborに入った上で政府への無利子貸付(すなわち還付で戻ってくることになる源泉徴収)をできるだけ減らしたい筆者としてはやや残念な結果である。今回の申告では、そのこと以外にも想定外の事項がいくつかあったので、反省のためにblogにまとめておくことにする(今回限りの特殊事情でlessonを今後に活かせなさそうなものも多いのだが)。
2021年度は、諸事情で所得が大幅に減る見込みとなっており、一方でそれに付随した諸事情により給与からの源泉徴収は減収分に見合わないくらい多かったため、 federal、Californiaともにかなり大きな還付が出る見積もりとなっていた。還付が出るならなるべく早く回収しなければ家計財務的に損な上に精神衛生上もよろしくないので、今回の申告は意欲的に年明けすぐから着手し、1月末には、某金融機関からの1099を待ってそれを入力すれば完了、という状態まで到達していた。ところが、そうしてほぼ完了というところまで進めてみると、見積もりと違いfederalはowe、Californiaの還付も見積もりより大幅に少なくなっていた。幸い、ペナルティにかかるほど不足してはいなかったが、見積もりの精度にはかなりの自信を持っていただけに愕然とし、誤差の原因を細かく調べてみた。
なお余談だが、当初見積もりではfederalでかなり大きな還付が出そうだったので、還付金によるI savings bond購入デビューを果たそうかとも考えていた。過去の申告では(上記の通り)還付金が出る状況になったことがそもそもほとんどなく、出てもわずかな金額であったので、わざわざ紙のbondを別に管理する手間にも見合わないと考えて購入しなかったのだが、今回は(見積もりでは)金額も大きくなりそうだったということもあり、デビューする気まんまんであった。とくに、たまたまながら現時点でのI bondの金利は年利換算7.12%と非常に高く、いまの物価状況から考えれば5月からの金利もかなり高くなることが予想され、株価が不調な一方金利も上昇しそうという局面では最強とも言えそうな金融商品である。しかし、結果的にfederalはoweとなってしまったので、paper I bond購入デビューの野望も夢と消えた。
見積もりエラーの原因と今後への教訓点
さて、見積もりと実際の税金に大差が出た主な要因は以下であった:
- 2021年は諸事情で給与所得の計算が例外的になっていた(筆者の勤め先は上場企業でなく、RSUに代表される株価連動の報酬がないので、例年であれば給与所得の見積もりは比較的簡単だった)のだが、見積もりシートに記入した値にかなり大きなエラーを入れてしまっていた。このため、見積額が実際の給与よりもかなり低くなっていた
- 例年、課税運用口座で生じる運用益(おもに分配金と利子、まれに譲渡益)は前年実績の10%増しとしており、これまではそれでほぼ問題なかったのだが、2021年の場合はこの見積額が実際と5割もずれていた。さらに細かく見ると、International(除米国)や新興国株式のfundからの分配が(再投資以外の買い増しがほぼゼロなのにも関わらず)前年比48%増、しかもnonqualifiedの分配が96%増と、異常に高くまた税非効率な分配になっていた。また、これに比べれば些末ながら、2020年は譲渡損があって運用益を減らす効果があったのだが、それを考慮に入れずに2021年分を見積もっていたため、これも過少見積もりの一因となっていた。
- 2021年はdependent care FSAの拠出上限が一時的に$10500に上がり、筆者の勤め先のプランもそれに対応していたため、上限額一杯まで拠出していた。これが連邦・州とも控除対象になると思い込んで見積もっていたのだが、California的には控除対象の上限は実際には$5000のままであった。この差がCaliforniaの還付を大きく減らす一因となった。
- これまた2021年限定で、Child Tax Creditの前払いがあった分、申告時点でのcreditは当然減額になるのだが、見積もりにおいてその点を考慮していなかった(safe harbor入りのための天引き額調整では考慮していたのだが…)。
このうち、最後の2つは2021年のみの特殊要因なので、今後に活かせる余地はほぼないだろうが、2番目については、年の途中で分配金の実質額を確認しておく、前年に譲渡損益が出ていた場合に見積もりが過剰or過少にならないように注意する、など、今後の改善策として活用できそうだ。1番目も2021年特有の限定事情という面が強いが、転職したりなどすると似たような状況になることもありうるので、多少は役立てそうである。
これに加えて、2022年限定で活かせそうな特殊要因として、2021年は例外的に所得が少なく税金の額も少なかったことがある。例年であれば、運用益への課税がある分源泉徴収額を自主的に増やす必要があるのだが、2022年は前年の確定税額分(そのAGI次第では税額の110%)を源泉徴収で収めることでsafe harbor入りできる可能性が高く、最低限の源泉徴収(自主追加分なし)で済むと思われる。もちろん、いずれは払わないといけない税金なので浪費するわけにはいかないが、少なくとも2023年4月の納付ぎりぎりまで安全な方法で運用しておけばコーヒー一杯分くらいの足しにはなるだろう。
その他の余談
- Foreign Tax Credit(FTC)の計算には、米国外源泉所得の額を求める必要がある(Form 1116のline 1a)。Vanguardのconsolidated 1099では、2020年度版まではこの金額自体を記載したおまけページが付いてきていたのだが、2021年度版にはこれが比率でしか記載されておらず、申告書作成に余計な一手間がかかるようになってしまった。しかも、記載されている比率が各個人の状況を反映したものなのか(2020年度分までに記載の金額は明らかにそうだった)、一般的なfundの通年の値を記載しているのかがいまひとつ判然としない。厳密には、2020年度以前の1099相当の情報を照会した上でその値を使うべきかもしれないが、FTCの計算の仕組と(筆者の場合では)実際に生じた外国税額の状況から、米国外源泉所得額によほどのずれがない限りは生じた外国税全額をFTCとして請求可能なはずであるので、ここは少しさぼって1099の比率を使ってForm 1116を作成した。万一これでIRSから刺されても税金の金額には影響しないはずなので、その時点でより正確な値を求めて修正申告すればいいだろう、くらいの割り切りである。
- 一方、Vanguardの2021年度版1099では、地方債fundの分配金について、州ごとの比率が記載されるようになっていた。分配金全体に対してCalifornia分の比率を乗じた額をFreeTaxUSAに入力してみたところ、この金額がadjustされてわずかながら州所得税が減額された。厳密には、上記FTCの場合と似たような問題があり、こういう計算で本当に筆者の所得のうちのCalifornia源泉部分になるのか疑問な部分もあるのだが、2021年分についてはとりあえずこれで出してみて、FTBから文句を言われたらそのとき考えることにする。なお、余談の上塗りだが、California限定の債権fundで運用すればこの手の面倒からは逃れられる。筆者が現状そうしていないのは、少なくともVanguardではshort termのそうしたfundがなく低金利が続いている中で中長期の債権をあまり保有したくなかったことと、債権に期待するのは安定性なので、分散できる要素には少しでも分散したいと考えたことによる。ただ、今後は少しずつ金利が上がる可能性もありそうで、少なくとも前者は問題でなくなるかもしれない。もしそうなればCalifornia限定債権fundを導入してみてもいいかもしれない。
- Form 8938を埋めるのには通常何らかの為替レートが必要になる。これまではフォームのinstructionからリンクされている財務省発表のレートを使っていた(というか、それを使えと書かれている)のだが、2021年分を入力しようとしたらリンクが切れていた。とりあえず同じ財務省のデータということで探したレートを使った(なんにせよFATCAが本来想定しているのであろう層の資産額からすればゴミのような金額で、出しておくこと自体に意味があるという類のものなので、レートなどもよほどずれていなければ何でもいいだろうという割り切りもある)が、”must use”とまで言っておいてリンク切れのような基本的なエラーを起こすのは勘弁してほしいものである。
2022年March27日 3:24 AM
[…] 別なblogでも触れたとおり、2021年の所得と確定税額が少なかったせいで、今年はsafe harbor入りのために給与からの源泉徴収額を増やす必要がなさそうである。その分のお金をなるべく有効に使う必要がある(2023年4月には税金として払わなければいけないので浪費はできない)。 […]