株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド
ジェレミー・シーゲル, 石川 由美子
(訳: 鍋井 里依, 林 康史, 藤野 隆太)
日経BP社, 2006-07-13
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- 200年間の株式投資を統計的にまとめた名著
- 株式投資の基本
- 真実が書かれています
200年にわたるデータをもとに長期投資の効果を説くのがウリ、ということになっているようだが、データによるウンチクの部分ははっきりいって眠い。過去のデータを数字を追って確かめないと気がすまないという人のための資料にはいいかもしれないが、結論自体はすでに長期投資の有効性について納得してる人にはいまさらな話だし、過去の実積は未来を保証しないという点ではギャンブル好きのデイトレーダーの考えを変えさせる説得力があるとも思えず、中途半端な印象。ただし、1月効果や月曜効果のようなanomalyを頭ごなしに否定せず、理由がわからないけれども経験的に成り立っているものとして認めた上でアドバイスをする姿勢は好感が持てるし参考にもなった。
(当然ながら)全般的にアメリカの事情が中心なので、具体的な話では微妙に日本人読者の参考にならない個所があるような気もする(ので日本にいるときに買ったまましばらく埃をかぶらせていた)のだが、実際にアメリカに生活の基盤を置いた上で読むとなるほどと思う部分が結構ある。たとえばretirement planのための課税繰り延べ口座と税金の関係などはなかなか参考になった(一方、この情報はいまのところほとんどの日本人には無意味だろう)。もっとも、課税繰り延べ口座に関する記述では、401(k)のプランで提供されるfundに貧弱で高コストなものが多いという点まで踏み込んでほしかった気はする。
もう一つなるほどと思ったのは、ETFが株価指数先物の副産物であるという指摘。確かに、裁定取引によって指数に連動するようになっている仕掛けや、株式現物の受け渡しを介在させずに取引することで低コスト化を実現している点など、先物の一種だと考えるとETFの特徴も理解しやすい。まあそういうことがわかったからといって実際の投資行動において何か役立つというものでもないが、いろんな商品の仕組みを理解しておくことはセールス文句に騙されない賢い投資家たるためには必要なことだろう。
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