Jan 10

年末年始で資産の構成を見直そうとしていて、「通常だとwash saleとみなされる形で売却した資産を税優遇口座(たとえばIRA)で買い直した場合もやはりwash sale扱いになる(ため損失計上できない)のか?」というのがふと疑問になったので調べてみたところ、またしてもアメリカ税制の複雑怪奇さに遭遇するハメになった…
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Dec 07

「某所で税金の話」をしていたときに、(長期)キャピタルゲインと適格配当(qualified dividends)所得に関する優遇税率について、ちょっとモヤモヤした部分が頭をかすめたのだが、その場ではあまり気にせずに流してしまった。その後、モヤモヤを解消するべく改めて調べてみると、いままでこれらの税率についてとんでもない誤解をしていたことにいまさらながら気がついてしまった。誤解していた主な部分を対象に、正しい(と現時点で信じている)内容を箇条書きすると以下のとおり:

  • この優遇税率(0,15,20%)は、定率ではなく、実際には超過累進税率である
  • Ordinary Incomeのtaxブラケットを決める際の所得からは、優遇税率対象の所得は除かれる
  • 一方、優遇税率の具体的な値は、ordinary incomeも含めた所得全体の額で決まる

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Dec 06

一つ前のエントリに書いたように、「某所で税金の話をすることになった」ので、泥縄で資料(google docsスライド)も作った。記録のために(および運がよければ間違いの指摘などもしてもらえるように)一応公開しておく。

Dec 05

(これは、筆者が2009年にアメリカの確定申告に本格的にデビューした際のメモである。執筆後すぐに公開しようと思っていたのだが、諸般の事情によりその時点では公開を見送り、その後もなんとなく書きかけ状態で放置していた。が、ごく最近になって某所で税金の話をすることになったので、いい機会ということで公開することにした。基本的に2009年当時の情報のまま変更していないので、現在ではあてはまらない記述もあるかもしれない。ただし、古くなっていたリンクなどは新しいものに直し、一部については現在の観点から注釈を入れてある。)

昨年(注: 2008年のこと)もプチデビューを果たしていたアメリカでの確定申告(tax return)だが、今年(注: 2009年のこと)は居住者(resident alien)として本格的な申告が必要。大きな固定資産とか負債とかがないので、ある意味では単純なのだが、外国(おもに日本)源泉の所得があるという点ではむしろ一般的なアメリカ人よりも面倒かもしれない。
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Nov 28

ESPP(Employee Stock Purchase Plan)に関する最初のエントリで、税金処理に関して1099-Bの内容が「不正確」なために税金の二重取られになる場合があるらしいという注意を書いた。実は最近の規制の変更(改悪と呼びたいが…)により、2014年からはESPPに関する1099-Bの内容は「常に不正確」になるらしい。
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Nov 10

ESPPについての前回のfinaceエントリで、以下のように書いた:

即座に売却する場合の唯一の欠点は、purchase dateの時点で株価が上がっていた場合、offering date時の株価との差額にもその年のうちにordinary incomeで課税されてしまうことくらいだろうか

この点をもう少し考えているうちに、もっといい(かもしれない)運用方法を思いついた。(とくにpurchase date時に株価が上昇していた場合)即座に売る代わりに、holding period requirementを満たす期間の後に満期を迎え、購入時点での時価に近い価格を行使価格とするプットオプションを購入するというものである。これで値下がりのリスクはヘッジした上で、15%割引+purchase date時での上昇分への課税を遅らせてかつlong term capital gainとしての優遇税率を受けられる。購入時の値上がり幅とオプションの価格によっては、これが手間を上回るだけの利益になる可能性もある。

結局、検討の結果このアイデアはボツになった。まず、そもそも勤め先の会社の株式に対するオプション(というかいわゆるデリバティブ系商品全般)の取引が禁じられていた。また、仮にそれが許されていたとしても、ちょっと調べたところではオプション取引のコストに見合うだけの利益は得られそうになかった。でもせっかく調べた結果をそのまま捨て去るのももったいないので、ここに記録として残しておくことにする。
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Nov 07

(だいぶ前にtwitterでつぶやいた内容に(大幅に)加筆・修正してブログ化しました)

前のfinance記事でも書いたHSAと同様に、転職して新しく経験したfinance上の制度の一つがESPP(Employee Stock Purchase Plan)。前の職場は非営利だったので、ESPPどころか株式自体存在しなかった(のでESPPの存在も知らなかった)。新しい会社はごく「普通」の株式会社(公開済み)で普通にESPPが提供されていたのだが、当初は、勤め先の会社の株を買う行為がファイナンス的に筋が悪いということと、日本の似て非なる制度である筋悪な「持株会」を連想させるネーミングとで、思考停止的に不要な制度かと思い込んでいた。が、もう少しちゃんと理解してみると、ESPPの本質は「かなり高利の積立預金」であり、むしろ積極的に利用するべき制度であることが判明した。この記事は、その当時の検討内容と、その後の疑問解消のために調べた結果のまとめである。
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Sep 06

(FI Planning再掲載を機会にだいぶ前にtwitterでつぶやいた内容を加筆・修正してブログ化しました)

1年ほど前に転職したところ、福利厚生周りでいろいろ再考しないといけないことが多くて難儀した。とりわけ苦労したのが健康保険周りで、前の職場になかった「医療費口座付き高免責プラン」(HDHP+HSA, High Deductible Health Plan with Health Savings Account)というのが新たに選択肢に加わったため、(アメリカで生活するため以外には何の役にも立たない知識をまた一つ)一から勉強し直すはめに。

万人にあてはまる法則はない(Financeに関する話一般にいえることだけど、その上に保険プランや雇用者の補助の違いが大きいため)と思うが、あえてexecutive summaryを挙げるとするとこんな感じ:

  • HDHP+HSAとそうでないプランが用意されてる場合、自己負担の損得は慎重に計算する必要がある。にわかには明らかでないし、よく言われているように普段の医療費が少ない人のみHDHPが有利とも限らない
  • (キャッシュフローが許す限り)HSAは医療費用途の積立としてではなく運用口座として使うことをまず検討すべき
  • とくに運用口座として考えると、健康保険に抱き合わせのHSA口座はおそらく粗悪。抱き合わせ口座にとらわれずベストの口座を探してそれを使うべき
  • 転職してはじめてHDHP+HSAになったような場合、(税金処理上のトラブルを裂けるため)少なくとも翌年末まではその保険を維持するのが望ましい
  • (かなりローカルだけど)カリフォルニアではHSAへの拠出は所得税控除対象でない。しかもcalfileも使えなくなる

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Jan 08

前のエントリでまとめた制度の理解に基づき、筆者自身の個人的状況に近いモデルで、将来の年金額や、引退までに必要な貯蓄額などを試算してみた。

いろいろな気付きがあったが、主要な(私的)結論としては、

  • アメリカに来た以上は引退まで帰国してはいけない
  • 非居住者になっても国民年金には任意加入すべき
  • (条件によるが)最速54歳で引退可能

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Jan 08

高額の退職金と手厚い企業年金という鉄壁のシステムに守られた日本の会社員と違って明日をも知れぬ身にも関わらず、ふと気がついてみると、いままで年金制度の詳細についてきちんと理解していなかった。日米社会保障協定があるので、どちらの国からもそこそこの年金がもらえるはず、程度のいい加減な理解だったのだが、これではいけないと思いまじめに勉強してみた。これはその結果のメモ。
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